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[エンジニール] 池田 邦彦 著 を読んで

 日本の鉄道が国有化される前の明治三十年代の関西鉄道に配属されたのが
”早風”と言う蒸機機関車。 二輪の先台車の後に直径φ1575mmの大動輪が
二つ並び高速機らしい風貌の2シリンダー複式の新鋭機関車。

これなら名古屋~大阪間の走行時間が5時間を切る事ができ当時の官営鉄道
に勝てると汽車課長 島 安次郎は目論んだ。

しかし平坦地では高速が出せる”早風”だが発進時の機嫌が悪くギクシャク
した動きで機関士を悩ませ、乗客には不評であった。

 このジャジャ馬機関車をスムーズは発進させる腕を持つのが山陽鉄道から
やってきた雨宮哲人機関士。  と言うところから物語が始る。

 私が知っている蒸気機関車と言えば昭和生まれのC11からD52、精々
9600、8620 迄でそれ以前の物には殆ど馴染がなかったが、この本
では明治時代の個性ある機関車がペン画で動きだしそうな筆使いで紹介され
ており、良くできた模型機関車を見ているようで楽しく親しみを感じる。

最初 島を煙たがっていた雨宮は次第に打ち解け協力しながら鉄道技術発展
に力を尽くす。という通奏低音を基調に鉄道国有化直後までのエピソードが
つづられている。
蒸気機関車時代の碓氷峠アプト式、マレー式蒸機での箱根越え、全国一斉に
行った全車両への自動連結器取替え など当時の苦闘の跡を紹介しながら
レールゲージ広軌化の理想を追う姿を描いている。

そして雨宮に「機関車は発車する時より止める時の方が何倍か難しい」と言
わしめた複式蒸気機関車の発進時の問題の解説も分かり易い。
(動輪のクランクピンが3時か9時の位置にある時、高圧側のシリンダから
 いくら力を伝えても車輪は回らない、反対側の6時、12時の位置のクラ
 ンクピンには低圧側シリンダからの弱い力しか伝わらない)

”早風”の弟分として配属された”追風”は同タイプながら単式で使い易く、
短命だった兄貴よりずっと長く活躍した と言うのも興味深く
「機関車には人間と同じくドラマがある」 と語っている。

                      H30.7.27


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